第17章 進取を求めない

葉山ゆうが後部座席のドアを開けようとした瞬間、

「本当に運転手だと思ってるのか?」北条寒生の冷ややかな声が響いた。

葉山ゆうは確かに失礼だと思い、助手席に座ることにした。

車の中で、葉山ゆうは不思議に思った。北条寒生はホストだというのに、裕福で、誰もが彼に対して敬意を払っている。高級車で移動し、二千万円のワインを飲み、着ているスーツも腕時計も、すべてが高級ブランド品に見える。

しかし、お金持ちなだけでなく、洗練された趣味の持ち主で、一挙手一投足から名門の子息としての気品が漂っていた。

見た目は作れても、気品は絶対に作れるものではない。

彼は本当にホストなのだろうか?と彼女は疑問を...

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