第25章 誰が誰のドアをノックする?

車が急に発進し、葉山ゆうの顔が一瞬で赤くなった。

この男は汚すぎる。彼女の言うことを全て曲解して、しかも大勢の前でも全く遠慮がない。

「柏本おじさん、お残りはありますか?」葉山ゆうは尋ねた。

「新鮮な物しかありません。うちでは決してお残りは置きません」柏本は答えた。寒生様は滅多に家で食事をせず、事前連絡もないが、毎晩必ず夕食を用意している。ほとんどは捨てることになり、かなりもったいない。

「じゃあ、新しいご飯はありますか?」

「はい、ございます」新鮮なご飯だけでなく、おかずもある。しかし、寒生様は葉山さんの手料理を食べたいはずなので、柏本はそれには触れなかった。

「トマトは?」

...

ログインして続きを読む