第26章 遊び心が湧く

「この人……自意識過剰すぎる」葉山ゆうは首を振って呟いた。イケメンだからって、もう少し控えめにできないの?私が彼の部屋をノックするなんて、あり得ないでしょう?

「葉山お嬢さん、こちらです」柏本おじさんが笑顔で言った。

三階に着いて、葉山ゆうは我慢できずに尋ねた。「柏本おじさん、何をずっとニヤニヤしているんですか?」

「そうでしたか?」

「はい、口角が引きつってますよ」

柏本おじさんは安堵の表情を浮かべた。「寒生様のことを嬉しく思っているだけです。あなたがいれば、寒生様も寂しくないでしょう」

葉山ゆうは言いたかった。あんな自分の世界に生きている人が、寂しいわけないじゃない。柏本おじ...

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