第34章 悪い男の魅力

「コンコン——」二度のノックの後、北条寒生がドアを開けた。

葉山ゆうの目に飛び込んできたのは、男の逞しい胸筋と完璧な腹筋。あまりにも素晴らしい体つきに、思わずゴクリと唾を飲み込んでしまった。

三十代じゃなかったっけ?どうして中年男性特有の垢抜けなさが全くないどころか、犯罪的なまでに素晴らしい体つきをしているのだろう。特にトレーニングしている様子も見たことないのに。

「用件は?」北条寒生が見下ろすように葉山ゆうを睨みつけた。その深みのある声が、彼女の心を揺さぶる。

この素敵な声質、耳が妊娠しそうだ。

成熟した男性の魅力は、確かに彼女の周りの若い男子学生には持ち合わせていないものだ。と...

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