第38章 推しにキスされた

薔薇のような男が冷ややかに笑い、彼女を見る目が一段と冷たくなった。「やはり記者か」

「い、いえ違います!私、記者じゃありません。私はあなたのアイドル…あ、違う!あなたが私のファン…じゃなくて、私があなたのファンです!」

葉山ゆうは普段なら物事に動じない、アイドルに熱を上げるタイプでもない女性だったが、突然憧れの人物を目の前にして、まるで熱狂的なファンのように興奮した気持ちを抑えられなかった。顔を真っ赤にして、言葉も滅茶苦茶になっていた。

「ファン?」

「はい!私、あなたの作品大好きなんです。あなたがきっかけでこの業界に入ったんです。私もデザイナーなんです」

「デザイナー?君が?」上...

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