第39章 公平はない

「他の人もいるでしょう?」と葉山ゆうは慌てて言った。

「彼はこのテーブル担当のウェイターだ。なぜ他の人を呼ぶ必要がある?」と北条寒生は反問した。

葉山ゆうは言葉に詰まった。安田を助けたいという気持ちがあり、北条寒生がわざと難癖をつけていることもわかっていたが、彼の理由には反論の余地がなかった。

バラ園はウェイター一人が一つのテーブルを担当する制度で、従業員研修の際にも客の食事中はウェイターが勝手に席を離れてはいけないと特別に言い渡されていた。毎回のミーティングでも主任がくどいほど強調していたことだった。

さっき安田が自分を呼んだのは間違いだった。彼は自分を心配してのことだったのに、逆...

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