第40章 彼女を噛む

「知るか!」葉山ゆうは鼻を鳴らし、顔を横に向けた。

「抱えて連れて行くぞ」北条寒生は彼女と無駄話をする気もなく、ただ脅した。

葉山ゆうは唇を噛んだ。くそっ、いつも完全にやられてしまう。一度くらい彼の思い通りにならない時はないのか?

両足を伸ばし、つま先が床に触れた瞬間、空中に抱え上げられ、彼女は「あっ」と小さく叫び、慌てて男の逞しい腕に手を回した。「自分で降りようとしたじゃない?」

北条寒生は彼女が裸足で不快そうにしているのを見て、ただ三文字で返した。「好きだ」

私様が好きなら、私様が天下一なのか?葉山ゆうはあの横暴な態度が大嫌いで、歯を食いしばって言った。「地球があなたを中心に回...

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