第5章 まだ逃げるのか?

赤髪は罵りながら、平手打ちを振り上げた。

葉山ゆうは怯えて体を縮めたが、その手は宙で止められた。

「離せ!手が...手が折れる...痛い...」赤髪が悲鳴を上げた。

葉山ゆうが顔を上げると、王者のように威厳に満ちた男の顎が見えた。彼女の後ろに強い存在感で立っている。

葉山ゆうは驚いた。まさか助けてくれるとは。

北条寒生は、折れそうになった手を放り投げた。

「て、てめぇは誰だ!俺様の邪魔をして!」赤髪は手を押さえながら激怒した。

「俺様か。私の前でそんな口を利く奴がいたとはな」北条寒生の眉間に冷厳な色が浮かんだ。

「アニキ!北条様だ!」

「北条様!申し訳ございません!」赤髪は...

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