第51章 必要とする

佐々木さんとりんちゃんが不満を漏らしていても、やるべき仕事はやらねばならない。葉山ゆうの肩の負担は軽くなり、図面作成に集中できた。

いくら万能なデザイナーでも、すべての面で優れているわけではない。だからこそチームの連携が必要なのだ。彼女がすべきことは、残り二日間で最高のデザイン図を仕上げることだった。

昼休み、やっと五分ほどの時間を捻出した葉山ゆうは、佐藤さやかのオフィスに入った。

佐藤さやかはちょうど苛立ちのあまり書類を投げつけているところで、彼女を見るなり余計に腹を立て、恨みに満ちた目で睨みつけた。

「佐藤さん、これ社員寮の申請書です。サインをお願いします」葉山ゆうは丁寧に言った...

ログインして続きを読む