第21章 木戸達也の罰

篠原千穂の顔が一瞬で真っ赤になった。木戸達也を警戒するように見つめる彼女の表情に、自分がこの女性の心の中で、ろくでもない男として映っているのではないかと、木戸達也は思わず考え込んでしまった。

自分はそんなに最低な男なのか?

そう考えると胸が締め付けられた。水野優子には離婚したら責任を取ると約束したのに、離婚の考えが浮かぶたびに、何かと理由をつけては打ち消してしまう自分がいる。

木戸達也は思った。自分は所詮俗物で、ただ彼女の体を求めているだけなのかもしれない。

深くため息をつき、「罰として俺の飯を作れ」

篠原千穂は一瞬固まった。これのどこが罰なのか?

彼女は目を上げ、不思議そうに木...

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