第40章

篠原千穂は我慢強く彼女が罵り終わるのを待ってから、静かに口を開いた「おばあさん、他に用がないなら、切るよ」

彼女がそう言うと、篠原おばあさんの怒りはさらに増した。

「この親不孝者め、お前の父親があんな状態なのに、一度も見舞いに来ないのか?」

篠原千穂はハッとした。

篠原健一が病気?

やはり実の父親だから、無視するわけにはいかない。篠原おばあさんは少なくとも篠原健一の実の母親なのだから、息子の健康状態について冗談を言うはずがないと思った。

ところが、篠原家に戻ってみると、篠原健一の姿はどこにも見当たらなかった。

「お姉さん、やっと帰ってきてくれたのね?」

迎えてくれたのは篠原友...

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