第101章

「お嬢さん、こんにちは……篠宮湊の母です。綾瀬と申します……」

 水色未羽の行く手を遮るようにして、綾瀬結愛はそう名乗った。突然のことに、水色未羽は呆気にとられた表情を浮かべる。

 水色未羽は目を丸くし、目の前に立つ身なりの良い、育ちの良さそうな婦人を訝しげに見つめた。

 彼女には、この婦人に見覚えがなかったのだ。

 無理やり接点を探すとすれば、術後の夢が誰かに水を飲まされてしまった際、彼女が広報チームを引き連れて事態の収拾に当たった時くらいだろうか。

 だが、あの時は多忙を極めており、篠宮湊の母親を名乗る人物と直接言葉を交わした記憶はない。

 それがいきなり目の前に現れて自己紹...

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