第109章

皐月正山は、その生涯において栄華を極めてきた男だ。晩年において無一文になることなど、彼自身のプライドが許さなかった。

複雑な表情を浮かべる皐月正山を見て、副社長が再び局勢を分析し始めた。

「皐月社長、銀行はもうこれ以上融資してくれません。資金がなければ、工事を止めたくなくとも、止めざるを得ないのが現状です」

「数日前、ある金融会社から接触がありました。社長名義の『皐月クラブ』を土地建物ごと譲渡するならば、我々に資金援助をしてもいいと」

副社長の言葉は、皐月正山を究極の選択へと追い込んだ。

皐月グループ傘下の『皐月クラブ』は、現在グループ内で唯一、確実に利益を生み出している事業だ。

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