第111章

内心では皐月夏帆のことを毛嫌いしているくせに、翠川螢は名家の婦人たちの前で「良き継母」を演じきるため、満面の笑みを貼り付けて夏帆の方へと歩み寄ってきた。

水色未羽は、横目で螢が近づいてくるのを捉えた。

彼女は夏帆に小声で忠告する。

「夏帆、あの継母が来たわよ。私はこれでドロンするから」

「あんた、ちゃんと対処しなさいよ」

「安心して」

夏帆は未羽に囁き返した。

「タダでやられるような私じゃないわ」

未羽がその場を離れると、入れ替わりに翠川螢が夏帆のそばに立った。彼女は夏帆を頭のてっぺんから爪先までじろじろと品定めすると、いかにも母親ぶった年長者の口調で説教を始めた。

「ちょ...

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