第113章

江川老夫人は高齢な上、知的障害を持つこの息子を溺愛していた。息子の泣き声を聞いた瞬間、彼女の顔色は見るも無惨に曇った。

本来、彼女は皐月夏帆に対して好印象を抱いていたのだが、この一瞬でその態度は氷のように冷え切ってしまった。

すかさず翠川螢が前に進み出て、皐月夏帆を激しく非難し始めた。

「皐月夏帆、あなた、一体どういうつもり!? どうして江川さんに手を上げたりしたの!」

「彼は江川老夫人のたった一人の息子さんなのよ。江川家の膨大な資産を受け継ぐ唯一の継承者なの。どれだけの女性が彼に嫁ぎたいと願っていると思っているの?」

「たとえあなたが彼と結婚したくないとしても、暴力を振るうなんて...

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