第119章

江川家の老婦人が手を振ると、ボディガードが江川を連れ、皐月正山に落とし前をつけさせるべく会場を後にした。

翠川螢を皐月秋雨が庇うように支え、二人は衆人環視の中、狼狽しながらその場を立ち去った。

去り際、翠川螢と皐月秋雨は、食い殺さんばかりの形相で皐月夏帆を睨みつけた。

だが、皐月夏帆にとってその表情は蜜の味だ。

自分を殺したくとも殺せず、かといって指一本触れることすらできないその無様な姿こそ、彼女が見たかったものなのだから。

騒動はひとまずの決着を見た。

いつの間にか、水色未羽が皐月夏帆のそばに現れていた。

彼女は自身の肘で皐月夏帆の腰をつつき、悪戯な笑みを浮かべて尋ねた。

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