第30章

篠宮湊の身体が、微かに強張った。

まさか皐月秋雨が、これほど大胆な行動に出るとは予想もしていなかったのだ。

彼女の指先が、湊の鍛え上げられた腹筋をなぞるように滑り落ちていく。背中には、彼女の豊満な胸の感触が押し付けられていた。

かつて翠川螢が彼女に吹き込んだ入れ知恵だ。「男なんて生き物はね、女の方から積極的に迫って、淫らな一面を見せればイチコロなのよ」と。

皐月秋雨は自身の容姿に自信を持っていた。顔立ちも悪くないし、スタイルだって抜群だ。篠宮湊をその気にさせることなど、彼女にとっては造作もないことだと思われた。

「皐月秋雨、何の真似だ?」

篠宮湊の表情が一瞬にして氷のように冷え込...

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