第40章

彼は皐月秋雨の甘えた声色を完全に無視し、冷たく言い放った。

「謝れ」

「えっ?」

 篠宮湊の言葉に、皐月秋雨は驚愕し、目を見開いた。

 周囲の視線が一斉に皐月秋雨へと注がれる。今日のこの騒動を見る限り、まことしやかに囁かれていた「篠宮湊が皐月秋雨を娶る」という噂は、どうやら根も葉もないデマだったようだ。

「湊、謝れって……黒川社長にかしら?」

 皐月秋雨にとって、黒川社長に頭を下げることなど造作もないことだった。それで篠宮湊の機嫌が直り、自分への評価が挽回できるのであれば、謝罪など安いものだ。

 しかし、篠宮湊は彼女を見据え、さらに追撃した。

「黒川社長だけではない。皐月夏帆...

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