第49章

夜は腰を低くして慎重に巨岩のそばへと忍び寄り、その上で仰向けになると、じっと機を窺った。

しばらくして、探索の指示を出し終えた篠宮湊が、二人の使用人を引き連れて屋敷から飛び出してきた。別荘地全体へと捜索範囲を広げるつもりなのだ。

篠宮湊が門を一歩踏み出したその瞬間、岩の方から夜のむにゃむにゃという呟きが聞こえてきた。

彼女はまるで夢でも見ているかのような、頼りない声で囁く。

「パパ……パパ……パパ、助けて……」

その微かな声を耳にした篠宮湊は、即座に足を止めた。声のする方へ視線を走らせると、太い蔦に覆われた巨岩の陰に、小さな身体が丸まっているのが見えた。

蔦が太く生い茂り、岩その...

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