第53章

皐月夏帆のその言葉を聞き、翠川螢は鼻でせせら笑った。

「勘違いしないでちょうだい。私は何も、あの子の手術を引き受けるなと言っているわけじゃないわ。ただ忠告してあげているのよ。万が一、手術を失敗させて、篠宮湊の怒りを買っても知りませんよ、とね」

「その時になって……篠宮湊に追い詰められて逃げ場を失っても、絶対に皐月家を頼ろうなんて思わないことね」

翠川螢は腕を組み、顔から笑みを消した。彼女なりのやり方で、皐月夏帆にこの手術を諦めさせようとしているのだ。

もしこのまま手術が行われ、あの子が心臓病で死んだとしたら……その時こそ、皐月夏帆に真実を告げてやる。

『死んだあの子は、あんたが産ん...

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