第55章

神谷の射るような鋭い視線を前にして、皐月秋雨は彼を欺くという選択肢を捨てた。

彼女は意を決し、異父姉である皐月夏帆を徹底的に貶めることにした。

「神谷さん、あの女はね、私とは種違いの姉なの……。本当に性根の腐った女で、帰国するやいなや私や母さんをいじめ抜いて、父さんのことさえ眼中ないのよ」

秋雨は言葉を続ける。

「最近なんて、私の婚約者である筱宮湊をたぶらかそうとしてるの。あんな女、手籠めにしてから殺してしまったって構わないわ」

「神谷さん、安心して。あなたが彼女を始末してくれて、私が無事に湊と結婚できたら……必ず神谷家と筱宮家の提携を実現させてみせるわ」

目的のためなら、秋雨は...

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