第60章

「それから、すぐに検査の手配を。もし容態が持ち直さなければ、今夜中に緊急手術を行うことになる」

「すぐに向かうわ。……ええ、それじゃあ」

 通話を終えた皐月夏帆は、足早に階段を駆け下りた。

 すると、明がドアを開け、夏帆のバッグを手に待ち構えていた。

「ママ、こんな時間に外出なんて……病院で何かあったの?」

 明が小声で、心配そうに夏帆に尋ねる。

 夏帆はまだ起きている明を見て足を止め、視線を合わせた。

「ええ、明。海斗おじさんから電話があってね。今日私が診たあの小さな患者さんが、急変したみたいなの。ちょっと危険な状態で、彼の手には負えないから、手伝ってほしいって」

 夏帆の...

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