第80章

「吐きなさい。誰に頼まれて私を誘拐したの?」

 皐月夏帆は、神谷がしらを切るのではないかと危惧し、手にしたナイフに力を込めた。鋭利な刃先が、神谷の首筋をすっと撫でるように切り裂く。

 鮮血が、神谷の首を伝って滴り落ちた。

 自分の血を目にした瞬間、神谷の膝がガクガクと震え出した。

(こいつ……皐月秋雨の話とはまるで違うじゃないか。この手際の良さ、ただの素人じゃねえぞ)

 威嚇の効果を確認した皐月夏帆は、冷ややかに告げた。

「言わないなら、いくらでもやりようはあるわよ」

「私、医学部生なの。どこを切れば一番死ぬのが遅くなるか、よく知ってるわ。まずは総頸動脈を避けて……そうね、全身...

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