第83章

幸運にも、タイミングよくエレベーターが到着した。篠宮湊は皐月夏帆を抱きかかえたまま、迷うことなくその中へと足を踏み入れた。

一方、その光景を目の当たりにした霧島真は、数秒ほど呆気に取られていたが、すぐに我に返るとフロントへ向かい、チェックインの手続きを急いだ。

わずか一分後。篠宮湊は皐月夏帆を抱えたまま、彼が常宿としているプレジデンシャルスイートの前に立っていた。

足で荒々しくドアを蹴り開ける。そのままバスルームへ連れて行き、冷水を浴びせて正気に戻そうとした矢先だった。予想に反し、皐月夏帆が突如として大胆な行動に出たのだ。

彼女は篠宮湊の首に腕を絡ませると、不意にその熱を帯びた唇を、...

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