第85章

第1章

会議に出席するために外出した彼女は、あろうことか皐月秋雨の手の者に拉致されてしまった。だが、ただで転ぶ彼女ではない。即座に反撃に転じ、逆に皐月秋雨と神谷による情事の幕を開けさせたのだ。

その後、何食わぬ顔で交流会に参加し、会場にあった水を口にしたのだが――それが引き金だった。

突然、全身が火のように熱くなり、自分の行動さえ制御できなくなってしまったのだ。

大勢の前で醜態を晒すわけにはいかない。彼女は必死の思いで会場を飛び出し、篠宮湊に自分の身分証を押し付け、部屋を取るように頼んだ。

そこから先の記憶は、深い霧に包まれている。

覚えているのは、長く続く夢のような感覚。夢...

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