第92章

今日の篠宮湊は、夢ちゃんの付き添いで病院に詰めていることもあり、随分とラフな出で立ちだった。

カジュアルなシャツにダークカラーのパンツ。シャツの第二ボタンまで開けられた胸元からは、色気のある喉仏が覗いている。

数日前、彼の上に押し倒され、その喉仏に口づけをした記憶が蘇り、皐月夏帆の胸の奥で抑えきれない高鳴りが生じた。

彼女は自分の意志とは裏腹に、あの日の情景を何度も反芻してしまうのだ。

「皐月アシスタント……どうかしたか?」

皐月夏帆の視線に気づいた篠宮湊が、自ら声をかけた。

皐月夏帆はハッとして我に返る。

彼女は慌てて話題を変えた。

「すみません、少し考え事をしていました。...

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