第98章

「人の命がかかっているんです、早く中へ……!」

暁月海斗からの悲痛なSOS。先輩である皐月夏帆が、それを見捨てることなどできるはずもなかった。

彼女は黒川社長の視線など気にする余裕もなく、手術室へと飛び込んだ。それはまさに、死神との競争とも言える、一分一秒を争う壮絶な処置の幕開けだった。

手術室の外で待つ黒川社長は、扉の向こうへ消えていく夏帆の背中を見て、ある種の既視感を覚えた。

もともと彼女の正体を疑っていた彼だが、あの迷いのない姿を見て、疑念は確信へと変わった。

あの背中こそが、伝説の名医「ドクター・エーマ」そのものではないか、と。

徹夜の死闘の末、空が白む頃、ようやく黒川の...

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