第12章 再会の喜び

江崎鏡は心の痛みを押し殺し、疲れ果てた様子で目を閉じた。昼間たくさん眠ったから、今夜は眠れないだろうと思ったのに、いつの間にか眠りに落ちてしまった。

しかし、夢の中でさえ平穏はなかった。母の投身自殺の場面、祖父母の交通事故の光景、そして古村陽平が妊娠を知って堕胎を迫る場面が、次々と夢の中で駆け巡った。

とにかく、安らかな眠りとは程遠いものだった。

江崎鏡は早くに目を覚ました。本家の古村陽平の母から電話がかかってきたのだ。明日の夜の家族の宴を忘れないようにと念を押されたのだ。こういった連絡は通常、姑から彼女に伝えられ、それから古村陽平に伝える流れになっていた。

古村家は雲市の最大の名家...

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