第14章 本家に戻る

江崎鏡は頑なに車に乗ることを拒んだ。古村陽平が本当に江崎清を家に住まわせることに同意するとは思ってもみなかった。

しかし、古村陽平は彼女の心中を知る由もなく、ただ顔を曇らせた。

「こんな遠いのに、どうやって帰るつもりだ?わざと意地張ってるのか?」そう言ってから彼女の蒼白い顔色を見て、自分の言葉が強すぎたと感じた。

「送っていくよ。退院したばかりなんだから、ゆっくり休まないと」と、今度は柔らかい口調で言い直した。

江崎鏡はようやく顔を上げ、目の前の男性をじっと見つめた。彼の言葉にどれほどの真実が含まれているのか、それが本心なのか建前なのか、見極めようとした。

彼は彼女が退院したばかり...

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