第15章 離婚を懇願する

食卓でおじいさんは笑みを浮かべながら彼女を見つめ、江崎鏡をしばらく見ていなかったせいか、随分痩せたように感じた。

「鏡、痩せたように見えるけど、陽平のバカ孫がまた何かしたのか?」古村老人は眉をひそめながら言った。

江崎鏡が答える前に、古村恵子が口を挟んだ。

「お父さんが庇ってるから、誰も彼女になんてできやしないわ」古村恵子は意地の悪い目つきで江崎鏡を見た。

古村恵子は五十代だが、手入れが行き届いているため四十代に見える。他の名門の奥様と同様、庶民出身の嫁を快く思っていない。

江崎鏡への嫌悪感は隠すことなく表に出していた。頭の回転は遅いが、腹黒い女だった。

「お前に聞いてないだろう...

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