第16章 家法を動かす

「誰を愛してるの?あの江崎清という娘か?言っておくけど、私が生きている限り、あの子が私の孫嫁になることは絶対にない。鏡のどこが悪いというの?外の女なんかに目移りして」とお爺さんは怒って足を蹴り出した。

古村陽平は体を傾けながらも、すぐに正座し直した。

「おじいさま、彼女は私の命の恩人です。この恩は必ず返さなければ」と古村陽平は頭を下げたまま断固として答えた。

お爺さんは説得を諦め、すぐに田中叔父の方を向いた。

「家法を持って来い」

田中叔父は事態が深刻になったと察し、すぐに諭し始めた。

「旦那様、そこまでする必要は…若旦那、早く謝罪なさってください」と田中叔父は古村陽平に目配せし...

ログインして続きを読む