第18章 深夜に発熱

その瞬間になって、古村陽平はやっと江崎鏡が自分のことをどれほど大切に思っていたのかを本当に理解した。これまで彼は彼女のことを理解しようともせず、ただの道具のように、必要な時だけ思い出し、不要な時は無視してきた。

今、自分が本当に最低な人間だと感じていた。今まで気にも留めなかった女性が自分の代わりに鞭を受け、彼女の背中の傷跡を見ると、殺されるよりも辛い気持ちになった。

「離して、古村陽平。私を憎ませないで」江崎鏡の抵抗する動きが激しくなっていった。

古村陽平は突然素直に彼女への拘束を解いた。江崎鏡は立ち上がるなり、振り向いて古村陽平の顔に平手打ちを食らわせた。

彼女には力が入っていなか...

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