第25章 計略失敗

今では江崎家を救えるのは古村陽平だけだった。しかし、父親のことを嫌っている古村陽平は手を貸してくれそうにない。

父は江崎鏡のせいだと言う。だから彼女はこの方法しか思いつかなかった。古村の奥さんになって、子供まで身籠もれば、古村陽平も江崎家を見捨てるわけにはいかないはずだ。

古村陽平は江崎清を見つめ、彼女の手に持つ酒瓶に目を移した。先ほどの柔らかな腰つきと星空のような瞳を思い出し、怒りが少し収まった。確かに今は酒で気を紛らわす必要があった。

だから断らなかった。

「ああ、一緒に飲もう」

古村陽平が承諾すると、江崎清は胸が高鳴り、恥じらいながら提案した。

「お部屋で飲みませんか?ロビ...

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