第30章 身分を偽る

今度は古村陽平とロトさんが呆然としていた。古村陽平はまだ江崎鏡のジュエリーデザインの衝撃から立ち直れないうちに、江崎鏡の盗作疑惑を耳にした。

次々と降りかかる衝撃的な情報に、彼は戸惑いを隠せなかった。妻は一体どれだけの秘密を隠しているのだろうか。

「盗作?どういうことだ?お前は確か思い...」

「全く誤解なんです。ロトさん、説明させてください」高橋さやかは急いでロトさんの言葉を遮った。江崎鏡の正体が明かされることを恐れたのだ。

江崎鏡と高橋さやかが説明する暇もなく、江崎清が早速口を開いた。

「ロトさん、お姉さんは大学時代に盗作で処分されて、ジュエリー業界には入れなくなったんです。そ...

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