第31章

客席の人々は思い出先生が江崎清だと知り、驚きや失望、疑いの目を向けていた。

舞台上の江崎清は上品な笑みを浮かべ、江崎鏡は冷笑を浮かべながら静かに彼女の様子を見つめていた。

「さて、どう収めるのかしらね」高橋さやかは目を細めて笑った。厚かましい人は見たことがあるが、ここまでとは思わなかった。

古村陽平は一瞬驚いたものの、すぐに冷淡な表情に戻った。

司会者は質問を続けた。

「思い出先生は、今回なぜこのイベントに参加しようと思われたのでしょうか?」

江崎清は恥じらうように微笑んで、マイクを受け取り答えた。

「ある人にサプライズを贈りたかったんです」

会場からはざわめきが起こり、その...

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