第35章

江崎鏡と高橋さやかは小さな勝利を収め、得意げに水雲天を後にした。そして二人で買い物に繰り出した。

突然、高橋さやかが言い出した。

「鏡ちゃん、古村奥さんとしての権利を行使したことある?」

江崎鏡は一瞬何を言っているのか理解できなかった。高橋さやかは続けた。

「バカね、古村陽平はあんなにお金持ちなのに。あなたが使わなければ江崎清が使うわよ。彼にお金を請求して、もう一回ショッピングしましょうよ」高橋さやかは眉を上げた。

江崎鏡はそれもそうだと思ったが、ふと考えた。

「さやか、私たち離婚することになりそうだけど、今彼にお金を要求したら、ちょっと厚かましいというか、プライドないみたいに見...

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