第39章

「陽平さんが言いましたの?」

古村おじいさんは電話の向こうでふんと鼻を鳴らした。

「あの不届き者の話はするな。それより、体調はどうだ?家に帰ったと聞いたが、あれは古村陽平が鏡に申し訳ないことをしたんだ。おじいさんはもう奴を叱ってやったよ。どうだ、彼と本家に数日滞在しないか。ゆっくり養生して、古村陽平にも本家で鏡の面倒を見させる。それでどう?」

江崎鏡は本家で過ごしたい気持ちがあったものの、今はそれは無理だった。今や彼女と古村陽平の離婚の話が具体的に進んでいる。もしおじいさんに彼女が今妊娠していることを知られたら、きっと彼らの離婚を許さないだろう。

だから彼女はこう言うしかなかった。

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