第4章 打ち明ける

古村陽平がいる手前、江崎家の人々は口を挟むことを控えた。どう考えても江崎鏡は表向き古村家の奥様であり、また江崎明の会社は今まさに資金難に陥っているため、たとえ江崎鏡というお嬢ちゃんを心底憎んでいても、古村陽平の前では公平な態度を装わざるを得なかった。

「鏡、妹に謝りなさい。妹も許してくれるはずだから」江崎明は江崎清に目配せし、事を大きくしないよう促した。

しかし江崎清は見て見ぬふりをした。

「本当に私に謝らせたいの?」江崎鏡は江崎明の言葉を無視し、江崎清の目をじっと見つめながら、もう一度尋ねた。

江崎清は鋭い眼差しに気圧され、こっそりと自分の手を掻んで、江崎鏡の視線を避けながら、辛そ...

ログインして続きを読む