第47章

江崎鏡は携帯電話を古村陽平に渡し、彼がそこで動かずに立っているのを見て「ここで瞑想するつもり?」と言った。

古村陽平は少し笑い、心の中の焦りを押さえ込んだ。「ふん、嘘も上手く付けないな。おじいさんは私が朝のジョギングなんてしないって知ってるだろ」

古村陽平はそう言うと背を向けて立ち去った。江崎鏡は表情が一瞬こわばり、古村陽平の背中に向かって思い切り拳を振り上げた。

彼女は彼をかばうべきではなかった。おじいさんに叱らせるべきだったのだ。でも、おじいさんはもう電話で本家に戻るよう言ってきたのだった。

江崎鏡は確実に古村陽平のスキャンダルが原因だと思い、考えただけで頭が痛くなったが、それで...

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