第5章 影響を受けた感情

二人はしばらく話を続け、帰る前に高橋さやかは今日の本題を思い出した。

「安心して、秘密は守るわ。そうそう、今日はもう一つ大事な話があったの。詩織の秋冬コレクションのジュエリーデザイン、鏡ちゃんに指名が来てるわ。何かアイデアある?」

詩織は古村家が手がけるジュエリーブランドの一つだった。彼女はジュエリーデザイナーになって、母の叶わなかった夢を実現したいと思っていた。しかし大学時代に江崎清にデザインの盗作を仕組まれ、スキャンダルに巻き込まれたことで、ジュエリーデザイナーへの道を断たれてしまった。高橋さやかのアドバイスで、「オモイデ」というペンネームで卒業後、各ジュエリー会社に作品を送り続けた...

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