第51章

江崎清は頷いて皮肉な笑みを浮かべた。「そうよ、送ってあげる。そうしないとお姉さんがこんなみすぼらしい姿で出て行くのは見苦しいもの?」

江崎鏡は高橋さやかを一瞥し、二人の目が合うと、そこには計算高い光が宿った。それから江崎清に向かって笑顔で言った。「ありがとう。今日は妹がこんなに親切にしてくれるなら、お姉さん、遠慮なくいただくわ」

江崎清は言った。「遠慮しなくていいわよ、好きに選んで。お姉さんみたいな専業主婦は、家にいたらお金なんてないでしょうね。ああ、陽平兄さんはお姉さんにお小遣いくらいはくれてるのかしら?」

江崎鏡はジュエリーを選ぶ手を一瞬止め、それから言った。「そうね、私たちみたい...

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