第53章

江崎鏡は、おそらく最初から彼を探したのは本当に間違いだったのではないかと思った。最初から間違っていたのだ。

今、数人が苦しんでいるのは、すべて彼女一人のせいだった。

古村陽平は江崎鏡を見つめたが、突然言葉が出なくなった。そうだ、彼もそう思っていた。彼らの間に愛情はなく、おそらく家族愛があったのだろう。

だが、今となっては遅すぎるのかもしれない。江崎鏡はそう言いながら、急に吐き気を感じ、嘔吐が再び激しくなった。彼女は口を押さえ、トイレへと駆け込んだ。

涙と胃液が同時に彼女を襲い、便器に顔を近づけて激しく吐き続けた。まるで胃そのものを吐き出してしまいそうな気分だった。こんなに気持ち悪くな...

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