第9章 会議で寝る

江崎鏡はその報告書のことを思い出した。実は、血液検査、尿検査、超音波検査など妊娠発覚の可能性のある検査は全て高橋さやかに代わってもらっていた。

トイレで高橋さやかと血液と尿のサンプルを交換したことは、古村陽平には絶対にわからないはずだった。

しかし江崎鏡にはわかっていた。これは一時的な策略に過ぎず、長くは隠し通せない。だから古村陽平に気づかれる前にここを離れなければならなかった。

「大丈夫、まだ気づかないはず」江崎鏡はまだ平らなお腹を撫でた。

赤ちゃん、おとなしくしていてね。お父さんに気づかれたら...

気づかれたら、この世界に生まれてこられなくなるかもしれない。

朝から騒がしか...

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