第111章 本当にわざとではない

青山雅紀は何も答えず、ただじろりと睨みつけた。

中島はバツが悪そうに鼻をこすると、彼を治療室まで送り届け、そそくさとその場を後にした。

治療室に一人残されても、青山雅紀は焦る様子を見せない。

逆に、憤慨して部屋に戻った青山光だったが、すぐに自責の念に駆られた。

なぜ自分だけ逃げ出してしまったのか。

もし青山雅紀が嘘をついていて、本当は治療を拒否したかったのだとしたら、自分が逃げたことで彼の思う壺ではないか。だが、もし彼が本当に彼女の治療を待っているとしたら……。

そう考えると、青山光は唇から血が滲むほど強く噛み締めたくなった。

ただ、一度逃げ出した手前、今さら戻るのは笑い者にな...

ログインして続きを読む