第7章

 三日後、鈴川グループ主催のチャリティー晩餐会。

 それは社交界における最大のイベントだった。噂によれば、中田池は愛車を売り払い、村木由紀菜はパトロンたちのコネを総動員して、ようやく末席の立ち見チケットを二枚手に入れたらしい。彼らは一縷の望みをかけてこの場に潜り込み、噂の「鈴川家の令嬢」に救済を乞うつもりなのだ。

 私は二階のテラスから、その様を冷ややかに見下ろしていた。

 中田池はサイズの合わないスーツに身を包み、手には企画書を死に物狂いで握りしめている。その表情は卑屈で、焦燥にまみれていた。傍らでは村木由紀菜が彼を励ましている。

「中田さん、これから会う鈴川お嬢様には、あの時の手...

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