第8章

彼にすべてを話した――小栗彩が裏口を塞いだこと、火事を起こしたと認めたこと、悪夢のような一部始終を。

「小栗彩さんはすでに二件の放火を自供しています」中村さんはペンをカチリと鳴らしながら言った。「ですが、法廷で確実に有罪にするためには、新井さんの証言が必要なんです」

「彼女、どうなるんですか?」私は尋ねた。

「放火二件に暴行罪。検察は懲役十年を求刑するでしょうが、前科や情状によって実際の判決は変わってきます」

ベッドから圭吾が口を挟んだ。声はまだ掠れている。「彼女、中でどうしていますか?」

「県立刑務所で、裁判を待っています。保釈は拒否したとか」中村さんは手帳をパタンと閉じた。...

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