第6章
亮介視点
スマホの画面に表示された写真を、俺はただ見つめていた。胸に重い一撃を受けたような衝撃だった。
信吾が世良の肩を抱いている。彼女の家の前で。その姿は守るような、親密そのものだった。そして彼女は――くそっ、彼女は笑っていた。心の底から湧き上がるような、本物の笑顔。俺が長いこと見ていなかった表情だった。
たった一晩で? どうやってあいつは、二十四時間も経たないうちに彼女を自分の葡萄畑に連れて行って、ここまで親密になったんだ?
スマホを握りしめる指に力がこもる。叩きつけて粉々にしてしまいたいほどに。
「クソッ!」
俺は勢いよく席を立った。椅子が床と擦れて、けたたましい...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
縮小
拡大
