第113章 再会(2)

綾瀬家に長く仕える警備員というのは、自然と目線が高くなるものだ。日々出入りするのは各界の有力者ばかりで、その誰もが高級車で乗りつける。タクシーでやって来た若造が、綾瀬家のお嬢様を知っているなどと自称しても、鼻で笑われるのが落ちだ。

もちろん、この警備員も葉山天が綾瀬玲奈の知人だとは露ほども信じていない。しかし、綾瀬家の警備員ともなれば相応の教育を受けている。彼らは百人に一人という倍率を勝ち抜いた精鋭であり、能力だけでなく、礼節と態度は採用の絶対条件なのだ。

警備員は心の中で葉山天を嘲笑しながらも、それを顔には出さず、営業スマイルを浮かべて問いかけた。

「こんにちは。お約束はございますか...

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