第127章 女子寮(2)

葉山天は目を閉じ、地形を脳裏に焼き付けていた。いつか必ず、ここへ戻ってくる。今日、この秘密軍事基地で受けた屈辱、あわや命を落としかけた恨み。この借りは、葉山天の胸に深く刻まれた。

同じ道でも、直進でない限り、進入方向が異なれば感覚はまったく別物になる。往路ですでに一度記憶していたが、葉山天は今、復路の情報を上書きしていた。すべてのカーブ、地面の高低差を確実に記憶する。車が基地を出る頃には、彼の脳内にルートの概略図が完成していた。忘れないよう、指先が太腿の上で無言の地図を描く。

東野月には葉山天が何をしているのか分からず、退屈しのぎに悪戯書きでもしているのだと思ったようだ。基地から百メート...

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