第133章 少し痛いけど、我慢して

桐谷零里は校庭の裏手にある林の中で、ひとり涙を流していた。

ひとしきり泣いた後、彼女の脳裏に葉山天の言葉が蘇る。

『もし腹の子が不要なら、いつでも頼ってくれ』

その言葉に縋るように、桐谷零里は涙を拭った。地面に投げ出されていたスマホを拾い上げ、確認する。幸い、落ちた場所が草の上だったため、画面は割れていなかった。

アドレス帳を開き、西園寺樹希に発信する。

一方、西園寺樹希は学校近くの定食屋で葉山天と昼食をとっていた。午後の講義が迫っており、食べ終えたらすぐに教室へ向かわなければならない。食事があらかた済んだ頃、彼女のスマホが震えた。桐谷零里からだ。

「零里、どうしたの?」

電話...

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